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資格取得費用の返還請求について [2013.01.24]
従業員のキャリア形成、早期育成を目的として、業務上必要となる資格を会社負担において、取得をさせるケースは非常に多く見受けられます。
当該従業員が会社に定着し、想定通り資格を活かして重要な戦力となった場合は良いのですが、予想に反して戦力化する前に自主退社してしまうケースも間々見受けられます。
このテーマについてのご質問は、非常に多いと実感しております。
下記に対応策、考え方を記載します。参考にしてください。
従業員の資格取得費用を会社が負担したが、会社の期待に反して早期に退職した場合、費用の返還請求はできません。従業員の勤続を促すために「資格取得費用貸付制度」などの導入を検討しましょう。
【根拠】
- 労働基準法第16条・・・会社は、労働契約の不履行について、違約金を定めたり、損害賠償額を予定する契約を結んではならない
- 労働契約の不履行と違約金
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<ケーススタディ>
従業員が業務を遂行するために取得した資格の全費用を会社が負担して取ることとなった。
これにあたり、会社は「雇い入れ1年以内に自己都合で退職する場合には、会社が負担した費用を変換すること」という特約を労働契約に追加したが、半年後に家の事情で退社した。
そこで、会社は資格取得に要した費用の返還を求めた。
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上記の場合、会社が労働契約に追加した「退職する場合は費用を返還すること」という特約そのものが無効で、従業員はお金を返す必要はありません。
労働基準法第16条では、「金銭をいわゆる足かせとして、労働者を拘束してはならない」ということを言っています。このケースの特約は「不履行について違約金を定める契約」に該当し、従業員を不当に拘束する恐れがあるため認められません。
ただし、下記の場合、第16条に抵触しないとされます。
- その費用の計算が合理的な実費であること
- その金員が会社の立替金と解されるものであること
- その金員の返済により、いつでも退職が可能であること
- 返済に関する約定が不当に雇用関係の継続を強制しないこと
【資格取得費用の貸付制度】
上記のトラブルを防ぐために、資格取得費用を「会社が負担する」のでなく、「無利子あるいは低利子で貸し付ける」という制度を導入することができます。
この場合、以下のような定め方をします。
- 本人の自由意思に基づいて資格取得費用の借り入れを申し込む
- 申込に応じて会社が費用相当額を貸し付ける(金銭消費貸借契約の締結)
- 一定期間勤続することを以って、その「返済を免除する」規定を設ける
この場合は、労基法第16条に抵触しません。
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