2015年6月
法令新着ニュースを更新しました! [ 2015.06.22 ]
法令新着ニュースを更新しました。
http://takahamaroumu.jp/hourei
今回のテーマは
【労務】 平成26年労働相談件数で「いじめ・嫌がらせ」が3年連続トップ
【一般】 女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案について
【一般】 個人情報保護法の一部改正案について
以上3件です。参考にしてください。
遅刻に対して時間相当分以上の賃金カットをしても良いか? [ 2015.06.16 ]
遅刻をした社員に対し、ペナルティとしてその分の賃金を給料からカットすることは多くの企業で行われていますが、実際どの程度までの給与カットなら法的に認められているのでしょうか?
1.ノーワーク・ノーペイの原則
賃金請求権については、民法に「労働者は、その約した労働を終わった後でなければ、報酬を請求することができない。」という定めがあり、労務の提供がない(不就労の)場合には賃金請求権も発生しないこととしています。これをノーワーク・ノーペイの原則といいます。
遅刻や早退だけでなく、「働かない時間」のパターンは多岐にわたるため、控除をする場合には、控除する賃金の範囲や時間、回数の単位などを就業規則等において詳細に定めておく必要があります。
いずれにせよ、まず「働かない時間について給与を支払わないこと」は問題ありません。
それ以上の給与カットをする上では、以下の法的制限があります。
2.労基法91条「制裁規定の制限」
「減給の制裁」とは、遅刻等の服務規律に違反したことへの制裁として、ペナルティとして本来支給すべき賃金の一部を控除することを指します。このペナルティについて、「就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。」と定められています。
つまり、働かない時間分の給与カットを超えてカットを行うのであれば、その部分については減給の制裁に該当し、制裁の制限に抵触しない範囲で就業規則等に規定化し、その規定に基づいて控除を行うことが必要となります。
なお、遅刻、早退が目立つ会社では、精皆勤手当等を設け、勤怠と給与との関連性を持たせたり、賞与の考課項目の一つとして勤怠評価を取り入れるなどの管理方法も有効かもしれません。
自己都合退職の撤回について [ 2015.06.09 ]
自己都合での退職を申し出た社員が後になって「やはり退職したくない」と退職の撤回を求めた場合、会社はそれに応じなければならないのでしょうか?
「一方的な解約の宣言」なのか「合意解約を申し入れた」のか
退職願の提出について、その提出が「会社の合意なんて関係ない。一方的に期日を指定して辞める」という意思があるならば、原則として撤回に応じる必要はないとされています。一方で「○月○日に辞めたいのだが、認めてくれますか?」という伺いをたてる趣旨であるならば、会社側が退職を承認する前であれば撤回ができると考えられます。別の言い方をすると「合意解約の申し入れ」の場合であっても、会社が承諾したあとの撤回はできないとみなされます。
判断に迷う時はどうすればよいか
では、「一方的な解約の宣言」と「合意解約を申し入れた」のどちらであるかの判断については慎重に行う必要があります。
一般的に「退職届」=一方的な解約の宣言、「退職願」=合意解約の申し入れと見なされると言われていますが、実際に退職を巡ってトラブルになるときは状況を総合的にみて判断されるでしょう。例えば形式上退職届となっていても、「退職させてくれませんか?」とお願いするニュアンスを口頭で伝えていた場合、本人は相手の合意をもらうつもりであったと解釈されるかもしれません。
退職の撤回を巡ってのトラブルを未然に防ぐためには、①本人の意思確認を正確に行うこと②会社の意思を明確に示すことに尽きます。
後から撤回されたくない退職の場合、退職願について承諾したことを客観的資料(書面やメールなど)で残しておくなどの対策が有効でしょう。
懲戒処分を段階的に行う方法 [ 2015.06.02 ]
懲戒処分は会社が行う教育的指導ですので、指導は段階的に行う必要があります。
例えば学校で軽微な校則違反に対してすぐに退学処分をすることは「罰と違反行為が釣り合っていない」と言えるでしょう。同様に軽微な就業規則違反についてただちに解雇処分をすることは、あまりに罰が重すぎると判断される可能性が高いでしょう。
懲戒処分はつまり段階的に、ふさわしいものを科すべきであるという原則をまずは知りましょう。そのうえで懲戒処分において大事なポイントをご紹介します。
大事なポイント1:「本人の言い分を聞く」
懲戒処分を行うということは何か「悪いこと」をしていたからでしょうから、その悪いことが本当にあったのか、本人にその言い分を聞くことが必要です。例えば遅刻に対して直ちに懲戒を行うのではなく、なぜ遅れたのか、事情を汲んでやる必要はないかを検討してください。始末書などで本人の言い分や事実関係の情報を集める方法もあります。
大事なポイント2:とはいえ「始末書」は強制できない
ところが始末書は会社が提出を強制することができません。憲法19条において「思想、良心の自由」が保障されてるという趣旨から、本人の意に反する意見を強要することはできないとされてます(もちろん事実を報告するように言い渡す権限はあります)。悪かったことを認めさせようと高圧的に出過ぎてしまうとパワハラの可能性が出てきますので注意してください。
大事なポイント3:就業規則上の根拠を調べておく
会社が懲戒処分を行うことができるのは、原則として「これをしたら懲戒する」と就業規則などで規定されている内容に限ります。就業規則に根拠が求められるかを懲戒処分前に確認しましょう。
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