2016年12月
就労時間後の飲み会は残業扱いになるか? [ 2016.12.20 ]
年末年始が近づき、忘年会や新年会の開催時期がやってきました。社内コミュニケーションを円滑にするためにも、全ての従業員には出席してもらいたいという願望が会社としてはあると思います。
ただし、参加者の集め方によっては、飲み会の時間が残業時間とされ残業代の支払が生じる可能性があるので注意が必要です。
会社命令の有無
残業時間か否かの判断は、飲み会の席に「行かなければならない」状況であったかが大きなポイントになります。上司から命令を明確に受けた場合であれば労働時間となるでしょう。同様に、強制はされていないが実質的には強制的であった場合も労働時間となる可能性が高いと言えます。
なぜなら、社員は労働契約によって会社の指示・命令に従い労務を提供する義務を負っていますが、契約時間の範囲を超えて拘束することはできないためです。
会社が業務の範囲を超えて指示・命令をするのであれば、必然的に労務の対価としての賃金を支払う義務も負うことになります。
残業代よりも労災が争点になる
この種類の事案では「残業代」ではなく「労災」を巡って争うことの方が多いでしょう。
労働時間であると判断された場合、その飲み会でケガをした場合労災として認められます。ただし、二次会、三次会と続いて、帰りに酔っぱらって転んでケガをした場合など、「もはや労働時間とは言えない段階でのケガ」であれば、労災対象にならないこともあります。
ちなみに、主席に女性を意図的に同席させ、お酌をさせるなどの行為はセクハラやパワハラという別の問題が出てきますので注意が必要です。
インフルエンザ等感染する病気にかかった社員への対応 [ 2016.12.04 ]
体調不良により急に仕事を休む社員がいると現場に支障をきたしますが、インフルエンザ等感染する病気にかかった場合など、他の従業員に伝染しないように無理に出勤させず休ませた方が良いこともあります。インフルエンザなどで社員を休ませた場合、賃金等の処遇においてはどうすれば良いでしょうか。
法定伝染病とそれ以外では対応が異なる:
法定伝染病の場合、労働安全衛生規則第61条第1号において「病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾患にかかった者」については「その就業を禁止しなければならない」と定められています。言い換えると、会社は病気の拡散を防ぐために病気の社員を出社させてはいけないということです。
<病毒伝ぱのおそれのある伝染性の疾患>
結核、梅毒、淋病、トラコーマ、流行性角膜炎
上記に準ずる伝染性疾患(感染症予防法18条)
一類、二類、三類感染症の患者※
※エボラ出血熱、ペスト、鳥インフルエンザなど
これらの病気については、法律で出社させてはいけないと定められているため、当然に給与の支払い義務はありません。また、会社都合で休ませた時に発生する「休業手当」の支払いも不要となります。
インフルエンザは対象外
ところがインフルエンザ等(はしか、風疹、ノロウイルス等)は、感染症予防法の分類上、就業禁止の対象となるべき法定伝染病には該当しませんので、会社ごとに対応方針を決める必要があります。
通常は病気が社員へ拡散することを防ぎたいでしょうから、休業を命じることになるでしょう。その場合会社都合による休業になります。したがって、最低でも休業手当(平均賃金の60%)の支払いが必要となります。
もっとも、有給休暇を当人が取得して100%給与を受け取る権利もあります。
法定伝染病とそれ以外では就業禁止の根拠及び賃金の支払いの取り扱いが違うので注意が必要です。
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