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2017年7月

賞与は必ず支払う必要があるのか?   [ 2017.07.30 ]

賞与は、江戸時代に商人が盆と年末に奉公人に対して支払った「氷代」「餅代」がルーツとも言われています。

季節の節目節目に何かと金が入用であるため、奉公人に対して恩恵的に支払っていたのでしょう。

さて、現代において賞与は必ず払わなければならないのでしょうか。


【原則: 払うことが決まっているならば義務となる】

労働基準法上では、賃金については毎月一定期日に毎月1回以上支払うことが規定されていますが、賞与についての支払い時期については具体的には定められておりません。つまり、賞与を年2回必ず支払う義務というものは法律上はありません。

うちの会社は賞与ゼロである、と決めても問題はありません。

ところが、就業規則などに規程されている場合には支払う必要が生じてきます。

就業規則の賃金規程などで支払うことが明記されている、または雇用契約書にボーナスの支払いが明記されているならば、

それは賃金債権となり、会社が業績不振で支払わない場合は「ボーナスを払うという債務の不履行」となり、契約違反になるわけです。

賞与について就業規則において定める際には「業績次第では賞与を支払わない場合が存在ある」と定めている企業が一般的です。


【社員の中に払いたくない人がいる場合】

賞与が貢献度に比例して支払われるとしたら、貢献度が低い、またはないという評価の社員には賞与を減額し、または支給しない場合もあるでしょう。

この場合も、就業規則などにその旨規定しておく必要があります。

査定期間と支給の関係

賞与が業績や貢献度によって決まるならば、その査定期間も特定されるべきでしょう。

査定期間の特定をした時に、「査定期間にはいたけれど、支給日当日には退職する社員」もいるかもしれません。

会社としては、やめて行く社員に賞与を払いたくないという心理が働くこともあるでしょう(賞与には、来期への期待料も含んでいるため)。

その時には、「賞与は支給日現在在籍していない人には支払わない」という条件を就業規則で規定しておくと良いでしょう(支給日在籍要件)。

社員に対してミスをした損害を弁償させることができるか?   [ 2017.07.17 ]

社員に対して損害を弁償させることは問題なのでしょうか。

大手コンビニチェーンにおいて、レジの誤算があった時に罰金をとった企業の行為が非難された事件がありました。

社員に対して弁償をさせることは問題なのでしょうか。

【ポイント】

社員への損害賠償について、ポイントは以下の通りです。

・実際に発生した損害に対して賠償請求をすることは不可能でない

・ただし、労働者が業務の遂行に当たり会社に損害を与えた場合、ワザとである場合を除き、労働者の損害賠償責任は制限されるのが一般的である。

会社と社員は「労働契約」を結んでいる状態です。労働契約においては「給料を払う義務」と「働く義務」を交換している状態ですから、社員が職務の遂行にあたり、必要な注意を怠って労働契約上の義務に違反したような場合、契約違反として損害賠償を請求することはできます。

ただし、事業活動によるリスクはそれにより利益を得ている会社が負うべきであるという理屈もあります。つまり、社員がミスすることも織り込み済みで人を雇いなさい、というわけです。

そこで裁判所では、弱い立場の労働者を守るため、会社から労働者に対する損害賠償請求に制約を加えるという考え方をとっています。実際には、よっぽどの背任行為や、重大な過失があった場合でなければ、弁償をさせることは難しいでしょう。また仮に弁償が認められたとしても全額というわけにはいかない場合がほとんどでしょう。

軽はずみに弁償を求めたりしないよう注意してください。

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