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退職後、同業他社へ転職した社員に対して退職金を支払わないことができるか?   [2015.09.21]

退職後、同業他社へ転職した社員に対して、会社側の心情としては退職金の減額や不支給をしたいと考えても仕方のない部分はあります。ただし、退職金を減額または不支給とすることは簡単ではありません。

 

原則:

退職金の支払い基準は会社が自由に定めることができますが、通常退職金は「勤続年数」等を基準として計算されますので、その意味で「在籍中の賃金を後払いする」という性格があると考えられます。そのため、「○○の場合には退職金の減額・不支給とする」と定めたとしても、その程度は合理的範囲に制限されます。

 

同業他社への転職の制限:

では、同業他社へ転職する者への支給制限をすることは合理的でしょうか。

退職後、同業他社に転職した者に対する退職金の減額・不支給条項を設けることも、違法ではありません。しかし、裁判例から考えれば、禁止する競業の範囲(場所・期間等)を合理的な範囲にとどめたうえで、その代償措置を設けるか、あるいは強度に背信的な場合に全額不支給とするというのが現実的な措置でしょう。一般的には退職金の減額にとどめておくのが妥当です。

 

つまり、「○年以内は競業他社へ就職をした場合、退職金を○%減額する」「競業とは商圏(会社から半径○㎞範囲等)とする」「競業への就職を制限する社員は、○○の役職以上の職に就くものとする」などの決まりをきちんと就業規則などに定めておいた上で、競業への就職を制限する代わりに在職中に○○手当を支給するなどの状況を整えておかなければ、退職金の減額は難しくなるでしょう。

 

実際に競合会社へ転職する社員は正直にそのことを会社に言わないでしょうから、その確認も簡単ではありません。在職中から退職金規程などをしっかりと周知し、背任的な転職をしないように抑止するしかないというのが実情です。

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