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労働・社会保険手続き

労災の特別加入とは?   [ 2018.02.16 ]

労災保険は、本来、労働者つまり「雇われている人」の業務または通勤による災害に対して保険給付を行う制度ですが、中小事業主や自営業主など労働者以外でも、その業務の実情、災害の発生状況などからみて、特に労働者に準じて保護することが適当であると認められる一定の人には特別に任意加入が認められています。これが、「特別加入制度」です。特別加入の対象としてイメージしやすいのは、例えば小規模の建設業などでしょう。社長自身が現場に入って作業をしている場合、事故のリスクがあるため特別に保護を受けることを選択できるというわけです。

この特別加入制度は、労働保険事務組合に事務委託をしている場合に利用することができます。

特別加入制度は以下4種類に分けられます。

⑴中小事業主の特別加入 (第1種特別加入)
中小事業主とは、労働者を常時使用する事業主及び、労働者以外で当該事業に従事する方(業務執行権を有する役員、家族従事者など)をいいます。

⑵一人親方の特別加入(第2種特別加入)
一人親方とは、労働者を使用しないで事業を行うことを状態とする方、その他の自営業者及びその事業に従事する方をいいます。

⑶特定作業従事者の特別加入(第2種特別加入) 特定作業従事者とは、「特定農作業従事者」「指定農業機械作業従事者」「国又は地方公共団体が 実施する訓練従事者」「家内労働者及びその補助者」「労働組合等の常勤役員」「介護作業従事者」の 6種類の作業に従事する方のことをいいます。

⑷)海外派遣者の特別加入(第3種特別加入)
海外派遣者とは、日本国内で行われる事業(建設の事業などは除きます)から派遣されて、海外支店、工場、現場、現地法人、海外の提携先企業等海外で行われる事業に従事する労働者のことを言います。

加入者の範囲、加入要件、加入手続き、加入時健康診断、業務上外の認定基準(保険給付の対象となる災害の範囲)などそれぞれの条件がありますので、当てはまるものをよく理解し加入することが良いでしょう。

短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用拡大について   [ 2017.05.10 ]

平成28年10月1日から501人以上の企業で、一定の要件(*)を全て満たす短時間労働者の方も、社会保険に加入できるようになっておりますが、平成29年4月1日から更に適用範囲が拡大されました。

次のア又はイに該当する、 被保険者が常時 500 人以下の事業所が適用拡大の対象となります。

ア.労使合意 (働いてる方々の2分1以上と事業主が社会保険に加入することについて合意すること) に基づき申出をする法人・個人の事業所

イ.地方公共団体に属する事業所

加入に当たっては、事業主の方が管轄の年金事務所(健康保険組合に加入している企業については、健康保険組合にも申出を行っていただくことが必要です。以下同じ。)に対して、労使合意を行っている旨の同意書を添えて、申出を行っていただくことが必要です。

年金事務所等が事業主の方からの申出を受理した日に、一定の要件(*)を全て満たす短時間労働者の方は社会保険に加入することになります。

短時間労働者が1名でも社会保険の加入を希望した場合、合意に向けての労使の協議を行う義務はありませんが、社会保険の適用に向けて、労使の協議が適切に行われるよう努めてください。

申出を行った後は一定の要件(*)を満たす短時間労働者は全て加入対象者となりますので、労使間で十分な協議をされることをお勧めします。

(*)一定の要件(下記①~④のすべてにおいて該当するもの)

①週の所定労働時間が20時間以上であること(残業時間等は含めません。)

②1月の所定内賃金が月額88,000円以上であること(賞与、残業代、通勤手当等は含めません。)

③雇用期間が1年以上見込まれること

④学生(夜間、通信、定時制の方は除きます。)でないこと

高額療養費と限度額認定について   [ 2017.01.19 ]

病院に長期入院した場合、治療が長引く場合に医療費の自己負担が高額になることがあります。その場合、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分の払い戻しが受けられる制度が健康保険上にあります


自己負担額について

自己負担限度額は、年齢および所得状況により以下のように設定されています。ここでは70歳未満の限度額について紹介します。

1、所得区分(標準報酬月額83万以上)

自己負担額:252600円+(総医療費-842000円)×1%

2、所得区分(標準報酬月額53万~79万円)

自己負担額:167400円+(総医療費-558000円)×1%

3、所得区分(標準報酬月額28万~50万)

自己負担額:80100円+(総医療費-267000円)×1%

4、所得区分(標準報酬月額26万以下)

自己負担額:57600円

5、所得区分(低所得者)、被保険者が市区町村民税の非課税者等

自己負担額:35400円

例えば、標準報酬月額36万円の方で医療費が60万円かかった場合

自己負担額:80100円+(600000円-267000円)×1%=83430円となります。


限度額認定について

70歳未満の方で、あらかじめ長期入院により医療費が高額になることが分かっている場合、一医療機関での窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。

ただし、この制度を利用するには、事前に「健康保険限度額適用認定申請書」を提出し、「健康保険限度額適用認定証」の交付を受けたうえで窓口にて提示する必要があります。

高額療養費と限度額認定は、医療費の自己負担を一定に抑えてくれる同じ趣旨の制度です。ただ、限度額認定が窓口での支払いを自己負担限度額に抑えられるのに対し、高額療養費は、自己負担限度額の超過分を後から取り戻す申請をしなければならないため、一時的にでも費用負担が大きいです。

また、高額療養費の審査には3ヵ月以上かかるので払い戻しまでに時間もかかります。従業員から長期入院することを事前に聞いている場合は、「限度額認定」が受けられるよう便宜を図ってあげられると良いでしょう。

退職後の傷病手当金について   [ 2016.06.14 ]

協会けんぽまたは組合健保などの被保険者である会社員が病気やケガで働けなくなった場合に支給されるのが「傷病手当金」です。

業務上の怪我や病気が労災保険でカバーされることに対し、傷病手当金は私傷病による休業についての所得保障を目的にしています。

要件:

傷病手当金の要件は以下の通りです。

①病気やケガで仕事をすることができないこと(医師の証明が必要)

②病気、ケガの療養のために、4日以上欠勤していること。

③欠勤して4日目以降の給料を受けていないこと。

この要件を満たした場合、①、②、③を証明する書面などを添付して保険者に傷病手当金を申請することで受給できます。傷病手当金は同一の傷病について最大で1年半の間支給されます。

傷病手当金を申請するタイミング:

傷病手当金を申請する時、申請は数か月分を一度に申請しても大丈夫でが、毎月の所得保障であることを考えると1ヶ月毎に申請するとよいでしょう。

資格喪失後の継続給付:

傷病手当金を受給している途中に退職することになった場合であっても、場合によっては引き続き傷病手当を受け取ることは可能です。これを傷病手当金の継続給付といいます。

資格喪失の日の前日(退職日等)まで被保険者期間が継続して1年以上あり、被保険者資格喪失日の前日に、現に傷病手当金を受けているか、受けられる状態(傷病手当金受給要件を満たしている)であれば、資格喪失後も引き続き支給を受けることができます。ただし、一旦仕事に就くことができる状態になった場合、その後更に仕事に就くことができない状態になっても、傷病手当金は支給されません。

退職後の申請は、「給与をもらっていないこと」を証明する必要がありませんから、会社を通さず直接保険者に申請書を提出することになります。

保険証が届かない間に病院にかかるとき   [ 2016.06.03 ]

病気やケガで医者にかかるときには、窓口で健康保険証を提示する必要があります。

しかし、国民健康保険や健康保険などの公的医療保険には加入していても、さまざまな事情から保険証が手元にない場合があります。この場合はどのようにすればよいでしょうか。

保険証がない場合:

保険証がない場合とは以下のような場合があります。

1、単に保険証を忘れた、失くした

2、旅先で保険証を持たずに診療を受けた

3、就職したばかりで保険証がまだ交付・発行されていない(保険証が届かない)、

これらの場合であっても、被保険者であれば保険を使って医療を受けることができます。ただし、原則としてはいったん全額を自費で支払う必要があります。その上で、後ほど払い戻しを受けることになります。

手続きの流れ:

流れとしては以下のようになります。

1、医療機関の窓口に申し出る

まずは、医療機関で受診する際に、窓口に健康保険の手続き中などの事情のため、健康保険証がないことを伝えてください

2、いったん医療費を全額支払う

そして、医療機関の窓口で医療費の全額を支払います。自己負担割合が3割の人の場合、残りの7割の部分も一緒に払います。

3、療養費の支給申請手続きを行う

健康保険証が届いたら、協会けんぽ等へ「療養費支給申請書」を提出すると、全額自己負担した医療費のうち、保険者負担分が本人の口座に払い戻されます。

保険証の発行には多少時間がかかりますので、転職時期などは特に注意をしてください。

出張や社員旅行などで泥酔してけがをした場合の対応策   [ 2016.05.24 ]

労働者の仕事中のケガや病気については労災保険でカバーされますが、出張や社員旅行などの際に酒に酔ってケガなどをした場合は注意が必要です。

出張中の場合:

出張中は、その用務の成否や遂行方法などについて包括的に事業主が責任を負っているため、よほどの事情がない限り、出張過程の「全般について」事業主の支配下にあるとみなされます。そのため、出張中のケガや病気については労災補償の対象となることが多いでしょう。

ただし、労災には「業務起因性:業務が原因で被災した」ならびに「業務遂行性:業務を行っている最中だった」の二つの要件が必要ですので、どんなケガや病気でも出張中だからOKというわけではありません。

例えば過去の判例では、出張中の懇親会で酔っぱらって階段から落ちた事件について、「懇親会は仕事に付随したものだった」と認められて、労災事故となった例があります。他方で、同じく酔っぱらって二回の窓から用を足していて足を滑らせて転落したケースでは、労災として認められなかったこともあるようです。

社員旅行中の場合:

社員旅行の場合、「業務上」の負傷等であるか否かは、主催の目的、内容、参加の強制の有無、費用負担、運営方法から総合的に判断されることになります。一般的には、参加の強制がない場合には、特別な事情がない限り、社員旅行=労災とはならないでしょう。

飲酒については社会的な監視の目も強まっています。ハメを外し過ぎて事故にならないように気を付けましょう。

出勤中にケガをしたら   [ 2016.05.11 ]

「通勤災害」という言葉を聞いたことがありますか?

通勤災害とは、「労働者の通勤による負傷、疾病、障害または死亡」をいい、通勤災害と認められると、労災保険の補償対象として、一定の保険給付が受けられます。

たとえば、いつもの利用している駅で、たまたま階段を踏み外してケガをしてしまった場合は、通勤災害として考えられます。

では、会社に行く途中であれば何でも通勤災害になるか?といえば、そういうわけではありません。

ここでいう「通勤」とは、原則として「住居」と就業の場所との往復の移動を、合理的な経路および方法で行うことをいい、業務の性質があるもの(出張など)を除くものとされています。 「住居」は、就業にあたり、日常生活の拠点となっている場所をさします。

冒頭の駅でケガをした例は、「住居」から出発して、就業場所へ向かう途中の駅でのアクシデントでした。

では、「住居」から出発してすぐにケガをした場合はどうなるのでしょうか。

通勤経路は、一般の人が自由に通行できるかどうかにより区分されることになっているので、通常は門や扉または戸外が境界となります。このため、家を出てから、自宅の庭を通る際にケガをした場合は、認められないケースがほとんどとなります。マンションの廊下で転んだ場合は、共用スペース(=自由に通行できる)にあたるため、通勤災害となるでしょう。

新入社員や春の人事で異動となった社員も、毎日の通勤に慣れてきた頃でしょうか。同じように通勤しているつもりでも、どこでケガをしたのかで、扱いが大きく異なる点に、注意してください。

傷病手当金と出産手当金のルールの変更について   [ 2016.02.11 ]

傷病手当金と出産手当金は、私傷病や出産によって働けない場合に出る休業保障の給付ですが、その支給のもとになる標準報酬月額の決定方法について見直しが検討されていました。これについて、「持続可能な医療保険制度を構築するための国民健康保険法等の一部を改正する法律」が改正され、変更されることが決定しました

新しいルールは以下の通りです。

1、給付の日額計算の変更

今までは、休業開始時点での標準報酬月額÷30×3分の2という式で給付の日額を決定していましたが、平成28年4月からは「支給を始める日(以下「支給開始日」という)の属する月以前の直近の継続した12ヶ月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額の3分の2に相当する額」に変わります。

2、改正の年月日

平成28年4月1日以降の支給金額が対象

これは、手当の額を大きくするために、意図的に一時給与を引き上げるという不正が一部で見られたためです。

つまり、本来は20万円くらいの給与をもらっていた人が、妊娠を機に一時的に30万円まで給与を上げて、30万円をもとにした出産手当金をもらうなどといったことができないようにするための改正であるということです。

標準報酬月額が定められている月が12ヶ月に満たない場合は、支給開始日以前の直近の継続した各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1に相当する額または支給開始日の属する年度の前年度の9月30日における全被保険者の標準報酬月額を平均した30分の1に相当する額のいずれか少ない額の3分の2に相当する額になります。

いままでより実態に近い支給額になりますが、「いくら支給されるか」ということが休業してみるまでわかりにくくもなります。休む被保険者への説明は手間のかかるものになりそうです。

労災または通勤災害による休業補償(最初の3日)について   [ 2016.01.22 ]

業務上の事由または通勤により怪我をして仕事が出来なくなった場合、休業の第4日目以降は労災保険から休業に対する補償(概ね給与の8割)があります。


別の言い方をすると、休業初日から3日間は労災保険から休業補償されないことになります。この3日間に関するケアについて、業務(仕事中の)災害と通勤(途中の)災害とで、取り扱いが違います。

◆業務災害の場合

休業初日から3日目については、労働基準法により「会社が」平均賃金の60%の補償をしなければなりません。

そもそも、労働基準法では労災で仕事が出来ないために賃金を受けない場合、会社が休業補償をしなければならないのですが、休業4日目からは、労災保険がその補償を行うので、3日目までは会社が支払い、4日目以降は会社からの休業補償は労災保険からされる、という関係になっています。

◆通勤災害の場合

通勤災害は労災ではないので、労働基準法上、事業主には休業に対する補償責任がありません。よって、業務災害と異なり休業初日から3日目までの休業に対する補償を事業主がする必要はありません。

ちなみに、この3日分の休業補償について所得税法上は非課税となっています(一方で、会社の都合で休ませた場合に市はらう「休業手当」については課税対象となります)。また、労働保険の年度更新をするときには賃金とはみなされません。

休業補償を支給する場合の給与計算については専門家に相談しましょう。

年金事務所調査が来たら・・・   [ 2015.10.28 ]

マイナンバー制の開始を受けて、社会保険未適用事業所に対して「社会保険新規適用に対する調査連絡」が郵送されてきています。年金事務所の調査は以下の種類があります

1、定期調査

約4年に一度、管轄内の会社をランダムに当てて行う調査です。算定基礎届の提出時期に呼び出して調査をします。

2、新規適用後調査

社会保険新規適用手続きをした会社について、概ね適用後3~12ヶ月以内に調査をします。

3、未適用事業所への加入指導調査

社会保険未適用の会社に対する加入勧奨調査です。マイナンバーのこともあり、厳格化しています。

チェックする内容:

端的に言うと、①社会保険に入るべき人や会社が加入しているか②届出している報酬額が、実態と合っているかの二つをチェックするための調査です。

ポイント

未加入チェックのポイント

月間の労働時間が130時間を超えている場合、概ね正社員の4分の3以上の勤務実態があるため、社会保険加入対象者とみなされることになります。パート・アルバイト(フリーター)で社会保険未加入としたい場合、勤務時間を抑える必要があります。

実報酬と等級の差についてのポイント

賃金台帳との照合作業の他、源泉所得税の納付書に書かれた給与総額と、社会保険加入者の等級合計の差からチェックをされます。

法人事業所は原則としてすべて、個人事業であっても法定16業種の事業所は5人以上であれば加入義務のある会社とみなされます。

自社の社会保険加入状況を今一度チェックし、社労士の助言を聞きながら善後策をご検討ください。

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