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労働・社会保険手続き

役員は雇用保険に入れるか?   [ 2015.10.12 ]

会社の役員は原則として「雇われている人」ではないので雇用保険に入れません。ただし、代表でない取締役であって、同時に会社の部長職や工場長などを兼務している場合は例外的に雇用保険加入ができる場合があります。

つまり、役員という肩書になっているが実態は「雇われている」と言える場合は、引き続き雇用保険上の保護を受けることができるということです。

手続き方法

そのためには、ハローワークに「兼務役員雇用実態証明書」を作成し届け出る必要があります。この際以下の書類を添付する必要があります。

1、取締役会議事録など、役員報酬額がわかるもの

2、過去3カ月分程度の賃金台帳、出勤簿(労働者としての実態があるかを確認するもの)

3、商業登記簿謄本など

実際に役員が雇用保険に入ることができるか否かの判断は、主に報酬額のバランスによります。

雇用保険加入のためには原則として「役員報酬」よりも「賃金」の方が多く支払われている必要があります。

ちなみに、雇用保険加入は「労働者としての賃金部分のみ」になります。

例えば、役員報酬20万円、賃金として50万円を支払っている場合、雇用保険料は50万円の部分に対してのみかかり、基本手当(いわゆる失業保険)などの各種給付も加入部分のみをもとに計算されます。言い換えると、役員に雇用保険をかけたい場合は、役員報酬よりも賃金を多く支払う必要があります。名目上役員にしているが実際には全額給与として支払っている場合は雇用保険加入ができます。

介護休業制度について   [ 2015.07.14 ]

家族を介護する必要がある場合、介護のための休業を取ることができます。この「介護休業制度」について解説します

 

介護休業制度とは

労働者は、申し出ることにより、要介護状態にある対象家族1人につき、常時介護を必要とする状態ごとに1回の介護休業をすることができます(一定の範囲の期間雇用者も対象となります)。期間は通算して(のべ)93日までです。 2回目の介護休業ができるのは、要介護状態から回復した対象家族が、再び要介護状態に至った場合です。3回目以降も同様です。

 

介護休業の対象者

要介護状態にある対象家族を介護する男女労働者です。日々雇用される者は対象になりません。

 

対象家族と介護の状態の定義

※要介護状態:負傷、疾病又は身体上若しくは精神上の障害により、2週間以上の期間にわたり常時介護を必要とする状態のこと。

※対象家族:配偶者、父母、子、配偶者の父母並びに労働者が同居しかつ扶養している祖父母、兄弟姉妹及び孫。

 

しかし、法改正により、休業の取得によって

(1)  同一の事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であり、

(2)  介護休業開始予定日から93日を経過する日(93日経過日)を超えて引き続き雇用

されることが見込まれる(93日経過日から1年を経過する日までに労働契約期間が満了し、更新されないことが明らかである者を除く)

 

上記2つを満たす一定の範囲の期間雇用者(いわゆる契約社員)も介護休業がとれるようになりました。

 

介護休業にかかる給付

介護休業を取得する雇用保険被保険者について、一定の要件を満たすことで「介護休業給付」が受け取れることがあります。

「業務委託」とは何か?   [ 2015.04.03 ]

業務委託とは、書類上、形式的には「取引業者のひとつ」として業務を引き受ける形式ですが、実態としては雇用関係、つまり労働者であるものを言います。なぜ企業が労働者を業務委託と偽るかというと、次の理由が考えられます。

・労働者でないなら、残業代の支払いが不要になる

・労働者でないなら、社会保険加入が不要になる

・労働者でないなら、労災の責任所在をあいまいにできる

・労働者でないなら、労働基準法上の「解雇」という高いハードルを越えなくてもよい

つまり、企業側にとって経済的利益が大きいことが理由です。

業務委託関係と雇用関係の最大の違いは「発注者が指揮命令をすることができるか否か」です。指揮命令権の有無は具体的には以下の点を参考に判断されます。

1、仕事の依頼に対して引き受けた側が断ることができるか

2、仕事を進める上で本人の裁量の余地が相当程度あるか

3、勤務時間について発注者から拘束されるか

4、本人のかわりに他の者が労務提供することが認められているか(代わりがきくか)

たとえば美容室などでの業務を命じられている美容師の場合、形式的には業務委託契約であっても、①仕事は原則として断れない、②業務遂行について裁量の余地は少ない、③出勤簿などで勤務時間管理を受ける、④労務提供の代替性も認められていないという状況であれば、労働基準法上の労働者と判断される可能性が高いでしょう。

一方で、社会保険料や残業代の負担を想定しなくてすむ分、当人に高い報酬を支払うことができる可能性もありますから、いわゆる「仕事のできる人、あれこれ指示されたくない人」にとっては、業務委託という形式で働くことはメリットもあるかもしれません。

いずれにせよ書類上だけで業務委託契約を整えたことになりません。実際の仕事の命令の方法や業務の管理実態まで注意しなければなりません。

パート・アルバイトの社会保険加入について   [ 2014.12.04 ]

パートやアルバイトであっても、必ずしも社会保険(健康保険・厚生年金)の対象外ではありません。労働の実態によっては、社会保険に加入させなければなりません。


加入基準:

具体的には、以下の2つの基準を満たす場合は、社会保険への加入義務があります。

1日または1週の所定労働時間が、同じ仕事をする正社員の所定労働時間の4分の3以上であること1ヶ月の所定労働日数が、同じ仕事をする正社員の所定労働日数の4分の3以上であること

例えば、正社員が「週40時間、1ヶ月20日」働く職場の場合、パート・アルバイトが「週30時間以上かつ1ヶ月15日」以上働く場合は、社会保険に加入させなければなりません。

逆に言うと、この基準未満であれば社会保険加入は原則として必要ないため、社会保険に加入したくない場合は、労働時間や日数を基準未満に抑えるという方法がありました。

社会保険適用の拡大:

ところが法改正により、平成28年10月より、従業員501人以上の企業におけるパート・アルバイトの社会保険への加入対象範囲が広がり、以下に該当する場合は、社会保険へ加入させなければならなくなる予定です。

・週20時間以上の勤務

・月額賃金8.8万円(年収106万円)以上

・勤務期間1年以上

従業員300人以下の中小零細企業への適用は当面予定されていませんが、年金事情などを考えると適用がさらに拡大される可能性はあります。

法改正情報に注意しつつ、法令に合わせた適切な社会保険手続きをしましょう。

退職後の社会保険と雇用保険の手続きについて   [ 2014.11.17 ]

退職後すぐに再就職先が決まっていない場合、会社で加入していた社会保険(健康保険と厚生年金保険)、雇用保険で必要な手続きは以下の通りです。


健康保険について:

①国民健康保険に加入する

②加入していた健康保険の任意継続被保険者となる。(一定の要件を満たせば、退職後も継続して健康保険に加入する事ができます。)

③家族又は親族の健康保険の被扶養者になる


厚生年金保険について:

①国民年金の第1号被保険者となる

②国民年金の第3号被保険者となる(扶養してくれる配偶者が、厚生年金や共済年金に加入している場合に、なることができます。)

また、退職後に国民年金の保険料を支払うのが困難な場合は、一定の要件を満たせば、支払いを免除してくれる制度を利用する事ができます。


雇用保険について:

①離職票を持って求職の申し込みをする

退職後に次の仕事を探す場合、失業期間中の生活保障として雇用保険から「基本手当」(いわゆる失業保険)を受給することができます。その為には、ハローワークに離職票を持って行き求職の申し込みをする必要があります。

ただし、基本手当を受給する為には一定の要件を満たさなければなりませんのでご注意ください。


従業員が退職した場合、その後の手続きについて、どんな事をやっておかなければならないのか、自分で調べるのは大変です。退職後の労使トラブルに繋げないためにも、会社側で必要な手続きを案内してあげられることが望ましいでしょう。

産前産後休業期間中の社会保険料免除に関して   [ 2014.08.09 ]

① 産前休業とは

労働基準法65条1項において、「6週間以内に出産する予定の女性が休業を請求した場合には、その者を就業させてはならない」、と定められているため、出産前の従業員を休ませる期間を産前休業と呼びます。

産前6週間の期間の計算は、出産予定日を基準とすることから、出産が予定日より遅れた場合は、その延長された期間も産前の休業期間に含まれます。

② 産後休業とは

労働基準法65条2項において、「産後8週間を経過しない女性を就業させてはならない」と定められているため、出産後の従業員を休ませる期間を産後休業と呼びます。

上記、①②を合わせて「産前産後休業」と呼び、

平成26年4月から、「産前産後休業」をした方は育児休業期間中と同様に、社会保険料納付の免除を受けることができるようになりました。

・対象者

平成26年4月30日以降に産前産後休業が終了となる方(平成26年4月分以降の保険料)が対象となります。

・対象期間

産前42日・産後56日のうち、妊娠または出産を理由として労務に従事しなかった期間の保険料が免除されます。

・必要な手続き

産前産後休業期間中に、「産前産後休業取得者申出書」を提出する必要があります。

この制度は、平成26年に始まったものであるため、申請手続きを忘れないように注意してください。出産・育児に関するこれらの手続きや情報提供等バックアップ体制を整えることは、ワークライフバランス実現や次世代育成のためにも重要です。

社会保険料の加入期間と保険料徴収に関して   [ 2014.08.04 ]

【社会保険の加入期間】

従業員が入社し社会保険に加入した場合、その日を「資格取得日」と呼び、

従業員が退職し社会保険から外れた場合、退職日の翌日を「資格喪失日」と呼びます。

社会保険の加入期間(被保険者期間)は1ヶ月単位で表示され、「資格取得日の属する月」から、「資格喪失日が属する月の前月」までが算入されます。

【保険料徴収】

社会保険料が徴収されるのは、被保険者資格を取得した月から、被保険者資格を喪失した月の前月までの分となります。

例えば...

① 4月1日に入社し、5月30日に退職した場合

→4月分の保険料を納める必要があります。

② 4月30日に入社し、5月30日に退職した場合

→4月分の保険料を納める必要があります。

③ 4月1日に入社し、5月31日に退職した場合

→4月分、5月分の保険料を納める必要があります。

「資格喪失日」が翌日(6月1日)となるため、資格喪失月が6月になり、その前月の5月分も保険料を納める必要が出てきます。

【社会保険料控除】

保険料は、労使折半となっており、従業員が負担する保険料は、会社が給与から天引きして、会社負担分と合わせて会社が納付するしくみです。

その場合、前月分の保険料を当月の給与から控除することになるので、4月分の保険料は5月給与からの控除となります。

月末退職の際には、給与から当月分の社会保険料が引かれているかに気を付けなければなりません。また、納付した保険料額は、将来もらえる年金額に関わってくることからも、毎月、正しい保険料が引かれているか確認をするようにしましょう。

雇用保険に加入しなければならない人と給付   [ 2014.07.22 ]

雇い入れ時65歳未満の従業員で、以下2つの条件を満たす人に関しては雇用保険に加入させなければなりません


1、週20時間以上の労働時間があること

2、31日以上の雇用契約の見込みがあること


役員は雇用保険にいれるべきか

原則として、雇用保険は労働者に対する保険ですので、労働者でない人は加入できない仕組みとなっています。しかし、役員の中には、肩書きは役員だが通常の労働者と同じように賃金をもらっていて、他の従業員と同じように会社から指揮命令を受けて働いている人がいます。このような人を「使用人兼務役員」と呼びます。

使用人兼務役員の要件の一つとして「役員報酬以上の金額を給与として貰っていること」があります。

このような場合、「使用人兼務役員実態証明書」を提出し、雇用保険に加入することとなります。


給付の種類

雇用保険に加入することにより、様々な給付を受けることができます。以下、いくつかご紹介します。

① 求職者給付  →労働者が失業した場合(失業手当等)

② 雇用継続給付 →労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合(育児休業給付等)

③ 教育訓練給付 →労働者が職業訓練に関する教育訓練を受けた場合(教育訓練給付金)

④ 就職促進給付 →求職活動を容易にする等その就職を促進(再就職手当等)


雇用保険に加入した場合、毎月、従業員から徴収する雇用保険料は、給与額×0.005で計算した額です。例えば30万円の給与額の人ですと、1500円です。


労働者が失業した場合に貰える失業手当や、出産した際に貰える育児休業給付金等を考えますと、従業員はもちろんのこと、会社側にとっても、従業員が安心して働けるような環境を整えることができるため、双方にとって雇用保険に加入するメリットは大きいと言えるでしょう。

国民健康保険+厚生年金という組み合わせの社会保険   [ 2014.03.12 ]

法人事業所、および、常時5人以上の従業員を雇用する事業所は強制的に「協会けんぽ等健康保険と厚生年金保険」=いわゆる社会保険が適用されます。従って、これらの事業所に勤務する場合には、本来は厚生年金にのみ加入することはできません。しかし、例外的に健康保険の適用除外申請を提出し、認可が下りれば厚生年金にのみ加入出来るケースもあります。

健康保険の適用除外申請が出来るのは、個人事業としてすでに国民健康保険組合に加入していて、法人成りをするケースです。この場合には、所属する国民健康保険組合から証明をもらった申請書を管轄の年金事務所へ提出します。承認が得られれば、「国民健康保険+厚生年金」のセットで加入が出来ます。

国保と健保は、それぞれ特徴があります。

健康保険は保険料が高い分、手厚い給付が受けられます。一方、国保組合運営の国保は、保険料が安く、従業員の保険料を会社が折半負担しなくてよいなどのメリットがあります。

<健康保険の特徴>

・保険料は給料に応じて変動する。高い。

・毎年改定される。給与変動に伴う改定もある。

・傷病手当金、出産手当金がある

・会社を辞めた後の任意継続制度がある

・健保組合の場合、上乗給付がある場合があり、給付が手厚い

<国民健康保険の特徴>

・保険料は保険者(市町村)の財政に左右される

・国保組合は保険料が安く、市町村は高い傾向にある

・傷病手当金と出産手当金がない。健保に比べると給付が少ない

市区町村が保険者の国民健康保険に加入している場合は、「協会健保健康保険+厚生年金保険」に加入しなければなりませんが、現在国保組合に加入しているのであれば、保険料が安い傾向にあるので、適用除外申請を検討してみても良いでしょう。

また、給付内容が健保と国保では違うため、適用除外申請を行う際は、社員へ国保組合へ引き続き加入することの説明を行いましょう。

労災未加入中の労災事故   [ 2014.03.11 ]

労働者を1人でも雇っている事業主は労災保険の加入手続きを行わなければなりません。


この労災保険手続きを行っていない場合、事故発生で思わぬ費用を払わなければならないことがあります。

労災保険の加入手続きとは、「労働保険関係成立届」を労働基準監督署に提出することですが、この手続きを行っていなかったとしても、労災事故が起きた場合は「労働者保護の観点」から保険は適用されます。つまり労働者は労災保険の給付を受けることができます。

では、事故が起きるまでは加入しなくても良いのではと思ってしまうかもしれませんが、未加入時に事故が発生した場合、会社に対してペナルティが課せられます。

パナルティは遡って保険料を徴収する他に、給付を受けた金額の40%又は100%を事業主から徴収します。

<「故意」に手続きを行わなかった場合>

労災保険の加入手続きについて行政機関から指導等を受けたにも関わらず、手続きを行わない期間中に事故が起きた場合、「故意」と判断されます。「故意」と判断された場合には、保険給付額の100%が徴収されます。

<「重大な過失」により手続きを行わなかった場合>

労災保険の加入手続きについて行政機関から指導等は受けていないものの、労災保険の適用事業となってから1年を経過し、手続きを行わずに事故が起きた場合、「重大な過失」と判断されます。この場合には、保険給付額の40%が徴収されます。

例:行政機関から加入の指導は受けていなかったが、労災加入手続きを行っていなかった会社で、賃金日額1万円の従業員が労災事故で死亡し、遺族に労災保険から遺族補償一時金が支給された場合。

遺族補償一時金(1万円(賃金日額)×1000日分)×40%=400万円

ペナルティの額が想像以上に高額になることもあるので、未加入の場合は早急に手続きを行いましょう。また、労災保険は場所ごとに適用になるので、支店を開設した場合の手続きも忘れずに行いましょう。

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