2015年12月
「嘱託社員」「再雇用社員」の賃金を定年前よりも低くすることができるか? [ 2015.12.23 ]
定年間際の社員は、勤続年数が長いこともあり、給与額も高いことが多いでしょう。定年後嘱託や再雇用社員になったときに、そのままの給与を維持すると、高齢者に対する人件費が高くつくことになり、企業の若返りなどの点で問題が出ることがあります。
定年再雇用を機に給与を低くすることができるのでしょうか。
原則は当事者同士で納得すれば低くできる:
原則としては会社と当人が納得すれば、定年を機に給与を低くしても構いません(ただし最低賃金以下にすることはできません)。定年により雇用契約はいったんリセットとなるので、そのあとの契約内容は当事者同士で自由に決めることができます。
実際に60歳以降は公的年金も支給され始め(今後は65歳以降の支給に引き上げられます)、その他民間の保険の満期設定をしていることも多く、その他の所得が確保されていれば賃金を低く改定することにも抵抗は少ないかもしれません。ただし、これまでに再雇用制度が存在しており、ある程度、「定年後はこのくらいの賃金になる」という基準が存在するにもかかわらず、これに反して、賃金を下げる場合には、「労働条件の不利益変更」の問題が出てきます。他の人との公平性を考えて慎重に決定する必要があります。
なお、60歳を境に賃金が下がった場合、雇用保険から高年齢雇用継続給付金という給付が支給されることがあります。概要としては、①60歳を境に②5年以上の雇用保険加入期間がある人が③従前の75%未満に給与が下がった場合、一定額の給付を雇用保険から行うことにより所得が保障されます。
給付される予定の年金、満期保険金、給与、雇用保険給付、本人の家計事情、他の社員の給与水準などを総合的に検討して問題のおこらない金額設定を心がけてください。
通勤手当の非課税限度額について [ 2015.12.10 ]
通勤手当は実否弁償的な意味合いが強いため、本人の所得を計算する上では非課税となります。
ただし、近所から通勤する社員に多額の通勤手当を支払うなど、本来かかるであろう実費を超えて支給している場合は、名前が通勤手当であっても全額非課税とされないことがあります。
通勤手当の非課税限度額については通勤方法別に以下のような基準が決まっています。
1、交通機関又は有料道路を利用している人に支給する通勤手当
⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)
2、自動車や自転車などの交通用具を使用している人に支給する通勤手当
通勤距離が片道55キロメートル以上である場合 31,600円
通勤距離が片道45キロメートル以上55キロメートル未満である場合 28,000円
通勤距離が片道35キロメートル以上45キロメートル未満である場合 24,400円
通勤距離が片道25キロメートル以上35キロメートル未満である場合 18,700円
通勤距離が片道15キロメートル以上25キロメートル未満である場合 12,900円
通勤距離が片道10キロメートル以上15キロメートル未満である場合 7,100円
通勤距離が片道2キロメートル以上10キロメートル未満である場合 4,200円
通勤距離が片道2キロメートル未満である場合 (全額課税)
3、交通機関を利用している人に支給する通勤用定期乗車券
⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額(最高限度 100,000円)
4、交通機関又は有料道路を利用するほか、交通用具も使用している人に支給する通勤手当や通勤用定期乗車券
⇒1か月当たりの合理的な運賃等の額と2の金額との合計額(最高限度 100,000円)
つまり、電車やバスの定期券や定期代は10万円までは非課税ですが、車やバイク、自転車などを使用する通勤については「距離によって」非課税限度額が設定されています。
育児のため短時間勤務をしたい場合 [ 2015.12.07 ]
3歳未満の子どもを育てる従業員は、育児介護休業法により所定労働時間を短縮する制度(原則として1日6時間)を利用できます。所定労働時間とは、就業規則等で定められた勤務時間のことです。
対象者:
3歳未満の子どもを育てる男女従業員
※期間を定めて雇用されている従業員も利用できます。※配偶者が専業主婦(夫)であっても利用できます。
ただし、日雇いの従業員や、そもそも1日の所定労働時間が6時間以下の従業員は対象になりません。また、勤続年数1年未満の従業員など一定の従業員については、労使協定などで対象外となることがあります。
短縮時間や利用できる期間:
短時間勤務の時間については、会社は必ず1日の所定労働時間を5時間45分~6時間 とする制度を作らなければならないとされています。それより長くても短くても(たとえば所定労働時間を5時間、7時間と定めること)法的な基準を満たしたことになりません。ただし、所定労働時間を6時間とする措置に加えて、5時間あるいは7時間とする選択肢を設け、労働者に選択させるのであれば問題ありません。
利用できる期間は子どもが3歳になるまでの間で従業員の申し出る期間となります。
社会保険適用:
社会保険の適用については、常用的使用関係にあり、労働時間と労働日数が、それぞれ一般社員の4分の3以上であるときは、原則として被保険者となります。逆に言うと、原則として一般の社員の4分の3未満であれば社会保険は加入しません。
ただし、短時間勤務者が正社員の場合は、上記とは別に、下記の事項を満たしている場合に社会保険の被保険者となる可能性があります。
ア.労働契約、就業規則、給与規程等に、短時間正社員に係る規定がある
イ.期間の定めのない労働契約が締結されている
ウ.給与規程等における時間当たりの基本給・賞与・退職金等の算定方法等が同一事業所に
雇用されるフルタイム正社員と同等で、かつ就労実態も諸規程に則している
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