2015年2月
協調性のない社員を解雇できるか? [ 2015.02.25 ]
社内行事に参加しない、協力して行うべき掃除などの雑務をしないなど、協調性がない社員を解雇することはできるのでしょうか
一般的には、単に協調性のなさをもって解雇することは難しいでしょう。
判例では「協調性のないことが業務を遂行する上で重大な障害となっている状態」でなければ解雇は難しいとしています。
「協調性の無さが重大な障害である」とする場合は、以下の点に注意しなければなりません。
前提:
就業規則などの解雇理由に「協調性がない場合は解雇とする」などの規定があること。
必要なポイント:
1、その行為が繰り返し行われていること
2、その行為が起きた日時を記録していること
3、会社がその者を教育・指導するなど、改善のための努力を行っても改善が見られないこと
4、会社が教育・指導をした事実・日時を記録していること
5、その行為により業務の遂行に具体的な支障があった事実を記録していること
6、その者より勤務態度が悪い者を不問にしていないこと
裁判では会社には広く従業員を教育指導する義務があると考えられます。会社として「これだけの指導をして協調性を促したのだが更生せず、結果的に○○という損害や支障が出た」と言えなければ解雇は難しいと考えてください。
一方で、協調性とは何かを定義し、その行動を客観的に評価した結果昇給・昇格などの処遇に影響させることはできます。協調性のなさが会社にとって問題であることを理解させるには、人事評価制度とリンクさせて指導することも有効でしょう。
法令新着ニュースを更新しました! [ 2015.02.23 ]
法令新着ニュースを更新しました。
http://takahamaroumu.jp/hourei
今回のテーマは
1.今後の労働時間法制等の在り方に関する建議について
2.天気予報で物流を変える
3.個人情報保護ガイドラインの改正について
4.営業秘密の保護・活用に関する中間とりまとめが公表
以上4件です。参考にしてください。
時間外の研修時間に給与を支払う必要があるか? [ 2015.02.18 ]
会社が従業員に対して時間外に研修を行った場合、たとえその時間に作業をしていなくても給与を支払わなければならない場合があります。給与支払いの必要があるかどうかついては、以下の点によって決まります
1.強制参加の研修であれば給与支払いの必要あり
強制的に参加をさせている研修であれば、会社の「指揮命令」によるものですから、その時間は労働時間となり、給与支払いの義務が出てきます。
2.強制参加としてなくても「参加が暗黙のルール」であれば給与支払いの必要あり
任意で参加する研修であったとしても、「実質的には強制されているのと同じ」状態であれば、その研修時間はやはり労働時間となります。過去の裁判では「会社の黙示的な指示があると認められるときには、労働時間として取り扱う」と言う解釈がなされています。黙示的指示があったかどうかを判断する基準は以下のものがあります。
l 参加する従業員の仕事内容とどれだけ関連しているか
l 労働安全衛生法など法令に基づいて実施するものであるかどうか
l 参加しないことにより不利益な取り扱いがあるかどうか
研修に参加しないことが給与査定に影響したり、罰金などペナルティーがあった場合、表向きは強制でなくても実質的に参加を強制されていると見なされます。
逆に言うと、研修時間を「労働時間」としないためには、就業規則上の制裁等の不利益取り扱いによる出席の強制をせず、「従業員側から自発的に申し込む書類を提出してもらう」など、自由参加であることを示す状況を整えましょう。
給与支払日の変更について [ 2015.02.12 ]
給与計算事務処理や資金繰りなどの便宜性の理由から給与締切日や支払日を変更したい場合、就業規則の変更をすることで変えることができますが、従業員とのトラブルを防ぐために以下の点に注意する必要があります
1、従業員の家計に支障がないようにする
給与の支払日を変更する場合、従業員の家計に配慮する必要があります。毎月の住宅ローンなどの引き落とし時期など、給与振込日が変わることで迷惑がかかる従業員がいないか確認をしましょう。もし不都合があれば、個別に会社が貸付を行うなどのケアを検討してください。
2、毎月1回の給与支払いが確保されるようにする
労働基準法上「給与は毎月1回以上、一定時期に支払わなければならない」と決められていますので、例えば毎月25日支払いを「翌月の10日支払い」に変更する場合、変更前の月に給与が支払われなくなるなどの事態が起きないようにしなければなりません。この場合も「先に半月分計算して支給する」などの対策が必要です。
3、社会保険・雇用保険の手続き上の留意点
社会保険上、給与の支払日を基準に対応月が決まりますので、月をまたぐ給与支払日の変更をすると手続きが煩雑になります。特に4月から6月は社会保険の算定基礎月に該当し、事務処理手続きが煩雑になるため、この期間での変更はできるだけ避けた方がよいでしょう。
また、雇用保険の離職証明書(いわゆる離職票)の作成方法にも給与の締日支払日が影響します。専門家のアドバイスを受けながら正しく作成をしてください。
法令新着ニュースを更新しました! [ 2015.02.10 ]
法令新着ニュースを更新しました。
http://takahamaroumu.jp/hourei
今回のテーマは
1.働く女性の処遇改善プランの公表について
2.外形標準課税拡大等の留意事項について
3.役員変更登記の取り扱いが変わります!
4.新しいタイプの商標の保護制度について
以上4件です。参考にしてください。
ストレスチェック実施の義務化について [ 2015.02.09 ]
労働安全衛生法が改正となり、平成27年12月1日から一定規模の事業主に対してストレスチェックが義務化されます。ポイントは以下の通りです。
1、概要
常時使用する労働者に対して、医師、保健師等※1による心理的な負担の程度を把握するための検査(ストレスチェック※2)を実施することが事業者の義務となります。ただし、労働者数50人未満の事業場は当分の間努力義務とされています。
※1 ストレスチェックの実施者は医師、保健師のほか、一定の研修を受けた看護師、精神保健福祉士を含める予定。
※2 検査項目は、「職業性ストレス簡易調査票」(57項目による検査)を参考とし、今後標準的な項目を示す予定。検査の頻度は、今後省令で定める予定で、1年ごとに1回とすることを想定。
○検査結果は、検査を実施した医師、保健師等から直接本人通知され、本人の同意なく事業者に提供することは禁止されます。
○検査の結果、一定の要件※3に該当する労働者から申出があった場合、医師による面接指導を実施することが事業者の義務となります。また、申出を理由とする不利益な取扱いは禁止されます。
※3 要件は、今後省令で定める予定で、高ストレスと判定された者などを含める予定。
○直接指導の結果に基づき、医師の意見を聴き、必要に応じ就業上の措置※4を講じることが事業者の義務となります。
※4 就業上の措置とは、労働者の実情を考慮し、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を行うこと。
労働者のメンタル部分のケアについてもますます重要度が高まります。快適な職場づくりのため、法律に先駆けて対策を検討するとよいでしょう。
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