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就業規則・労働法務

募集時に性別等を限定することは可能か?   [ 2016.08.19 ]

美容室などでは、男性美容師を嫌がるお客様のために女性のみを募集したいというところもあるでしょう。

現在、男女雇用機会均等法は,「法の下の平等を保障する日本国憲法 の理念にのっとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図る」こと等を趣旨とし(1条),第5条(性別を理由とする差別の禁止)で,「事業主は、労働者の募集及び採用について、その性別にかかわりなく均等な機会を与えなければならない。 」と規定しています。これは,採用について男性のみに限定する場合にのみならず,女性に限定することをも禁止しているものです。

募集または採用に当たって,男女のいずれかを表す職種の名称を用い,または「男性歓迎」,「女性向きの職種」等の表示を行うことも禁止されています(平成18年10月11日厚生労働省告示614号)。ただし,芸術・芸能の分野における表現の真実性等の要請から男女のいずれかのみに従事させることが必要な職務等(俳優など)については,その募集または採用に当たって性別により異なる措置を講じたとしても,男女雇用機会均等法違反にはならないケースもあるようです(上記告示)。また,防犯のための守衛・警備員を男性に限定して募集するのは差し支えないとされています(上記告示)。

上記の観点で言うと「男性美容師が嫌な人のために」女性のみを募集するというのは,男女雇用機会均等法の趣旨からは合理的な理由があるとはされないでしょう。ただ、男女雇用機会均等法では法5条に違反しても罰則はありません。

どうしても女性に多く応募してもらいたいのであれば、応募条件に性別を入れず、店のPRで「女性スタッフのみのお店です」としてみていかがでしょうか。

経歴詐称を防ぐには   [ 2016.07.28 ]

中途採用において、採用されたい一心で応募者が経歴を詐称していた、というケースは少なからずあるようです。

早めの段階で見抜くことができればよいですが、採用してしばらく経ってから発覚した場合のダメージは少なくありません。


応募者に求められる姿勢

労働契約は、入社してから退職するまでの長い期間にわたり継続しますから、会社と社員との間には信頼関係があることが前提です。このことから、応募する側は、労働契約を結ぶ際には信義則上真実を伝える義務を負っていると考えられます。


採用する側ができる予防策

各種資料や面接での質問を組み合わせながら、応募書類だけに頼らない選考を行いましょう。例えば、学歴が給与の査定において重要視されるのであれば、卒業証明書等を事前に用意するよう応募者へ伝えることができます。職務上の地位(管理職経験の有無等)については、前職の退職証明書を用意させたうえで、業務上の経験を詳しく質問することで、自ずとその人物について判断できるでしょう。

賞罰欄については、詐称があると会社にも大きな影響が出かねません。面接の際、「賞罰欄には何も書いてありませんが、前科等は特にありませんか」等の質問により、相手の発言を促す、自社の応募フォームで、「賞罰等」がない場合は「ない」と記入させる等も有効な方法です。


経歴詐称に対する対応策

入社前に発覚したのであれば、経歴詐称があっても採用を断れば事足ります。

内定後、入社後に経歴詐称が発覚した場合には解雇できるとは限りません。業務や給与体系との関連性で重大な経歴詐称(もし真実の経歴を伝えていたら、会社側としては採用しなかったといえるくらい重大な詐称)に当たるかどうか、個別に判断されます。


内定前、入社前の段階で、経歴詐称を見抜き、採用を防止するのが最善な手段といえるでしょう。

アルバイトやパートにも雇用契約書が必要か?   [ 2016.06.17 ]

週に数日しか働かないアルバイトや時間の短いパートタイマーに対しても雇用契約書を取り交わすことが必要です。

根拠は、まず労働基準法第15条に、「労働条件の明示義務」が定めてあるからです。

雇用契約期間や業務内容、勤務場所、賃金や退職に関する事項は、書面によりどのような従業員に対しても交付しなければなりません。逆に言うと、その書類を交付していないことで労働基準法違反になるということです。

また、その法律のあるなしに関わらず、雇用契約書は働く条件を記した書類ですから、トラブル防止のために取り交わすことをお勧めします。近年では、パートやアルバイトであっても残業代や休日休憩、解雇についてトラブルが多くなっています。
非正規雇用の割合が増えている今にあっては、パートやアルバイトでも労基法をはじめとした権利関係を知っており、その権利主張を強くするタイプの従業員と感情的な対立をしてしまうと、退職時に思わぬトラブルに発展してしまうかもしれません。

パートやアルバイトに対しては、とくに「契約期間及び更新の有無」「更新の判断基準」「職務内容」についてトラブルとなることが多いでしょう。専門家の力を借りながらしっかりとした書面を取り交わしてください。

ちなみに、労働条件の明示は会社側が一方的に行っても問題ありませんが、お互いが内容に合意したことを証拠として残すためにも、双方の署名や記名押印がなされた「雇用契約書」の様式になっていたほうがベターでしょう。

試用期間中に能力不足や適性のなさが分かった場合の対処   [ 2016.05.02 ]

多くの会社では、本採用前に試用期間を設けています。試用期間は文字通り「試しに使用する」期間ですから、その間に会社への適性や能力、健康状態などをみるために設けられます。

では、その「試しの使用期間」内に能力が足りない、意欲が足りない、会社の文化や習慣と合わなさそうだ、などが分かった場合、会社は自由に解雇ができるでしょうか?

答えは「No」で、会社が自由に解雇できると考えるのは間違いです。ただし、自社の社員としてふさわしくないと判断された場合は、本採用後よりは解雇が認められやすい(裁量の範囲は広い)傾向はあります。

法的には、試用期間中は「解雇権を一定程度留保した雇用契約が成立している」状態となります。適性がなかった場合解雇の可能性があることを示唆している状態ですから、試用期間中の解雇は通常の解雇よりも自由度が比較的高いと言えるでしょう。

だからといって「反抗的だ」とか「ただ単に気に入らない」などの理由で解雇できるものではありません。労使トラブルを防ぐためには以下の点に注意して運用するとよいでしょう。

1、試用期間であることを明言し、雇用契約書などにも明記しておく

2、本採用するか否かの判断基準をできるだけ明確に示しておく(本採用の筆記試験で合格すること、パソコンスキルチェックのための社内テストに合格することなど、合否が判定しやすい条件が望ましい)

3、特に雇入れ14日以内に適性を細かく見ること

上記の3について、試みの期間中であり、且つ採用から14日以内の人を解雇する場合、「解雇予告(30日以上前に解雇を予告すること)が不要となります。逆に言うと14日経過後は、たとえ試用期間であっても解雇の予告が必要になります。

上司からの指示に従わない社員に対する対処の仕方   [ 2016.04.30 ]

上司からの指示に従わない社員に対する対処の仕方

上司からの業務指示に従わない社員がいた場合、会社はどのように対応すればよいでしょうか。

この問題については、以下の3つのポイントに注意しましょう。


1、業務指示の妥当性を確認する

まずはその業務指示の内容および方法が、社会の一般常識から考えて妥当なものであるかを確認しましょう。大声をあげたり暴力を伴ったりすると業務指示というよりパワハラとみなされてしまう可能性が高くなりますし、指示の「発信者」と「受け手」が噛み合っていない場合(割り当てられていない仕事に対する指示や、本来の命令系統と違うボスからの指示の場合など)も妥当性が問題になってくるでしょう。


2、業務指示をした記録、および業務指示を聞くように指導したという記録を残す

業務指示が妥当なものであると会社が判断した場合、その指示を「いつ、だれが、誰に対して、なんのために」行ったかをメモや日報などに記録しておきましょう。同時に、業務の指示に従わない社員からも「始末書」を書かせる等の方法で「業務指示をまもらないことについて指導をしたという実績」を記録しておきましょう。


3、段階的にペナルティを与えていくか、異動を検討する

最初は始末書などの軽いペナルティーですが、何度も業務指示を守らない場合はペナルティの度合いを強めていくことも検討しましょう。もしくは、そもそも合わない上司と部下を引き話すために異動を考えてもよいかもしれません。


指示に従わないからと言ってすぐに解雇をしたり左遷したりするのは乱暴で、後々のトラブルにつながりますから、上記のポイントを参考にしながら慎重に進めてください。

会社の都合で休ませた場合の休業手当について   [ 2016.04.21 ]

会社の都合で休ませた場合の休業手当について

労働者本人の体調不良や家庭の事情で会社を休む場合、多くは「ノーワークノーペイ:働いていない部分の給与支払いはなくてよい」という原則の通り無給として処理しますが、その休みの原因が会社にある場合は、少し違う対応をする必要があります。

会社の都合による休みとは、例えば以下のようなケースがあります。

1、不景気だから工場の稼働を一時的に停める場合

2、社内の不正について調査するとき、証拠隠滅防止のため関係者に自宅待機を命じる場合

3、採用内定者について、業績の悪化のため予定通りの日付から勤務開始させられず、自宅待機をさせる場合

このような場合は、労働基準法の定めによる「休業手当」を支給しなければなりません。

休業手当の計算式は以下の通りです。

平均賃金 × 60% 以上

平均賃金は、原則として事由発生日前3カ月の給与総額を暦日数で割って計算しますが、その額の6割以上を「働いていなくても」負担しなければならないということです。

ちなみに、「伝染病にかかった社員に自宅待機させる場合」、「台風などで交通機関がストップした場合」「大きな災害があった場合」など、会社側の都合かとうかの判断に迷う場面については、有給の取得を奨励するか、社労士などの専門家に意見を求めるとよいでしょう。

無断遅刻・欠勤が多い社員にどのように対処したらよいか?   [ 2016.03.29 ]

社員が無断で遅刻したり、欠勤したりする場合、会社はどのように対処すればよいでしょうか。

前提:遅刻欠勤は労働契約上の違反

無断で遅刻したり欠勤したりということは、労働契約上の労働者としての義務を果たしていない、つまり債務不履行をしていることになります。労働者は会社に対して「決められた条件で働く」という義務を負っていますし、会社は労働者に対して「決められた賃金を支払う」義務があります。

ポイント1 事実と理由の確認

まずは無断遅刻・欠勤の事実があったか、ならびにその理由を確認しましょう。遅刻または欠勤の連絡が誰に対してもなかったのか、連絡すべき相手にしていなかったが何らかの連絡をしているのかを事実確認してください。

また、理由が止むを得ない理由であるかどうか、本人から申し開きの機会を与えるとよいでしょう。

ポイント2 遅刻・欠勤に対するルール確認

会社としてのルールがあいまいで「なあなあ」になっていないかを確認してください。

実態として遅刻欠勤に対する罰がなされていない場合や、人によって罰を与えたり与えなかったりという場合であれば、会社としても無断遅刻や無断欠勤を咎める根拠が弱くなります。

遅刻や欠勤については始業時刻の○分前までに電話(またはメール)で××課長に連絡をいれること、などのルールを決め、就業規則などに明記してください。

ポイント3 賃金の減額

約束の時間を働いていないことにより、その時間分の賃金を差し引くことは、原則としては「ノーワーク・ノーペイ」のルールにより可能です。そのほか罰を与えたい場合は、就業規則などにペナルティについて規定し、指導目的で懲戒処分を検討してください。

 

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フレックスタイム制について   [ 2016.02.17 ]

フレックスタイム制(労働基準法第 32 条の3)は、1日の労働時間の長さを固定的に定めず、1箇月以内の一定の期間の総労働時間を定めておき、労働者はその総労働時間の範囲で各労働日の労働時間を自分で決めて、効率的に働くことができる制度です。


フレックスタイム制については、バケツもしくはプールで例えるとわかりやすいです。


原則として、1日は8時間、1週は40時間以内でなければならないと労働基準法で決まっています。容積8リットルのバケツの擦り切りいっぱいまで水(=労働時間)を注ぐことができるとイメージしてください。同様に1週間は40リットルのドラム缶いっぱいまで入れることができます。


バケツやドラム缶から溢れた分については「残業」となるため、割増した追加の賃金=残業代を払わなければなりません。


フレックスタイム制とは、いわばこの「バケツの大きさ」を自由に決めてよいとする制度です。使うバケツの容量が6リットルだろうが10リットルだろうが構わないので、各自が自由なバケツを選んで水(=労働時間)をプールに入れていき、1ヶ月全体であるプールいっぱいまで水を入れるような仕組みです。忙しいときには10時間働いてもいいし、ヒマなときな3時間で帰ってもいい。でも1ヶ月の総労働時間は○時間になるように各自調整してください、ということですね。


このフレックスタイム制、一件自由度が高く利用しやすいように思いますが、実際にはうまく機能しているケースはそれほど多くないでしょう。国民性や経営者側の意識の特徴もあり、規則的な働き方を好むケースの方がまだ多いように思います。

賃金直接払いの原則について   [ 2016.02.02 ]

賃金を受け取る時、会社と労働者との間に仲介人等が間に入ると、労働者に対する賃金が本人に渡らない可能性が出てきます。そこで労働者の「賃金をもらう権利」を守るために、この「直接払いの原則」が設けられています

例えば労働者が未成年の場合など、親権者などの大人によってお金が消費され、本人の手に渡らないなどの問題が出てくるかもしれません。直接払いの原則はこのようなことを防ぐ目的があると言えるでしょう。

賃金の支払いにおいては,直接払いの原則により,親権者などの法定代理人はもとより,労働者の任意代理人に賃金を支払うことも禁止されています(ただし、労働者の妻に手渡すなど、単なる使者である場合、賃金債権者が税金の滞納などにより差し押さえ処分を受けた場合など、一部例外的に認められることもあります)。

ちなみに賃金をもらう権利(賃金債権)を債権譲渡することはできます。しかし,その場合であっても,使用者は労働者に対して賃金を直接支払わなければならないとされています。したがって、賃金はあくまで労働者本人に渡すものと心得ていた方がトラブルが少ないでしょう。

直接払いの原則に違反した場合

使用者が直接払いの原則に違反した場合,刑事罰としては,使用者は30万円以下の刑罰を科されます(労働基準法120条1号)。

賃金については、それがたいていの労働者にとって唯一の収入源であるため、それが本人の手に渡らないことがあればその人の生活が脅かされてしまいます。そのため厳しくルールが定められていると覚えてください。

始末書のポイント   [ 2016.01.19 ]

社員がミスをして会社に何らかの損害を与えた場合、ペナルティー(懲戒)の一環として始末書を提出させることがあります。


この始末書の意義と、作成のポイントについて考えてみましょう。

始末書の意義

始末書は、本人に自らの態度を振り返り「勤務態度を改善して欲しい」がために書いてもらうものですが、「正当な懲戒処分であるという証拠」という意味も持ちます。

遅刻や欠勤など度重なる事実があったとしても、それがどの程度あったのか?本人はどのように反省しているのか?会社としては改善のために手を尽しているのか?そうした客観的な証拠、記録をする点で意義があります。

作成のポイント

前述の意義から考えると、作成を促す際には以下のポイントに注意しましょう。

・ミスの具体的事実が書かれてあること(5W1H=誰が、いつ、どこで、何を、どんなふうに、なぜ起きたかが明らかになっていること)

・改善策、再発防止のアイデアが具体的に書かれていること(例えば遅刻が多いというミスの場合、通勤電車の乗車時間を15分早めるなど)

・再発防止のアイデアについて、直属の上司のアドバイスを受けること(再発防止の方法について、上司とも話し合ったという状態を作り、改善に巻き込む)

始末書の保管方法

始末書は人事関連の書類、特に当人の履歴書や労働者名簿などの属人情報と一緒に、あるいは人事考課関係の書類と一緒に保管しておくとよいでしょう。

始末書はあくまでも同じミスを繰り返させないために書かせるものですから、会社はその意義をしっかり伝えていくことが肝心です。

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