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給与計算

台風などの天災で公共交通機関がマヒした場合、給与を支払うべきか?   [ 2014.12.08 ]

台風などの天災で電車などがストップした結果通勤できない従業員に対しての給与の支払いは原則として必要ありませんが、一定の場合には労働基準法の「休業手当」を支払わなければならないことがあります。


休業手当とは:

労働基準法では「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」と定めてあります。例えば

・不景気で工場の操業を止めた

・採用内定者について、経営悪化により自宅待機を命じた

などの場合は、会社側の事情による休業であるため、平均賃金の100分の60以上の休業手当を支払わなければなりません。


台風で電車がストップした場合はどうか:

台風で公共交通機関がストップしたことは天災という外部の要因によるものであり、会社ではどうしようもない不可抗力です。ですから、一般的には「使用者の責に帰すべき事由」には当たらないとされています。

ところが、公共交通機関のストップによって出勤できない従業員が一部のみであり、近隣の従業員は自転車などで通勤できた場合は事情が違います。通勤をできる従業員も含めて休業を命じた場合には、通勤可能な従業員に対しては休業手当を支払わなければならないでしょう。


台風などの天災の場合、子供の学校が休校になったり、通所介護施設がストップしたりといった家庭事情も発生します。従業員の安全と家庭事情を考慮して自社に合ったルールづくりをしましょう。

欠勤日の有給振替について   [ 2014.11.08 ]

従業員が欠勤した後に、「欠勤日を年次有給休暇として振り替えてください」と言ってきた場合、会社は応じる義務はあるのでしょうか?

・応じる義務は無い

年次有給休暇は、従業員から事前に有給取得の請求された場合は、会社はその請求を拒否することはできません。しかし、欠勤後にその欠勤日を有給扱いとして振替える義務はありません。法律上にもそのような義務規定はなく、欠勤分の賃金を給与から引いてもなんら問題ありません。

ただ、有給振替の義務がないからといって、振替してはならないわけではありません。従業員から申請があった場合、欠勤した理由によっては、有給振替を認めてあげても良いと思います。このような場合、就業規則上に、以下の規定を設けておくことをお勧めします。

第○○条(年次有給休暇の届出)

1 年次有給休暇を請求しようとする者は、前日までに所属長に届出なければならない。ただし、事業の正常な運営を妨げるときは、他の時季に変更することがある。

2 病気その他やむを得ない事情により欠勤した場合で、本人から速やかに申出があり、会社が正当な事由による欠勤と認めた場合は、当該欠勤日を年次有給休暇に振り替えることができる。この場合、会社は病気等により欠勤した者から医師の診断証明書または医療機関で受け取ったレシート等の提出を求めることができる。

従業員からすれば、自分の有給取得日数が残っていた場合、それを使用して欠勤による給与の減額を防ぎたいのが心情だと思います。そのような場合、申し出を頭ごなしに拒否するのではなく、事情によっては認めてあげることで、従業員の不平・不満が起きにくい会社作りをしていきましょう。

割増賃金の計算の仕方について   [ 2014.10.30 ]

割増賃金の原則:


従業員に残業をさせた場合や、休日に働かせた場合には、会社は通常の賃金を割増して支払わなければなりません。割増して支払うべき賃金は、残業等をした労働者の時給単価に割増率を掛けて計算します。この割増率には、3つあります。

① 法定時間外労働の場合、25%以上

② 休日労働の場合、35%以上

③ 深夜労働(22時~5時)の場合、25%以上


会社は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。(この労働時間上限を「法定労働時間」といいます。)例えば、始業9時、終業18時(休憩1時間)で時給1000円の人が19時まで働いた場合、「法定労働時間を1時間超えて」労働をしたことになりますので、その1時間分について①の法定時間外労働に対する割増賃金を支払う必要があります。


前述の例の場合、時給1000円の25%以上増しになりますので、18時から19時までの1時間の労働に対して、1250円以上の時給を支払わなければなりません。

これが「法定休日=原則毎週1日の休日に働かせた場合」には②の割増率になり、労働が深夜(午後10時から午前5時前)に及んだ場合は③の割増率をかけることになります。


月給者などに対する割増賃金の計算方法:

月給者・日給者に対しては、時給単価に換算して割増率をかけます。

・日給制の場合...日給額を1日の所定労働時間で割った金額を出します。

・月給制の場合...「基本給+諸手当」を1か月あたりの平均所定労働時間で割った金額を出します。


月給制で、通勤手当や家族手当、住宅手当等を支給している場合には、原則として時給単価の計算に入れる必要はありません。これらは個人的な事情に基づいて支払われ、労働に対して直接的に支払われる手当だと考えられていないためです。ただし、家族手当だとしても、家族数等に関係なく全員同じ金額で支払われている場合には、その金額も時給単価計算に含めなければなりません。


割増賃金の計算の間違いは、のちに大きな賃金トラブルに発展することがあります。正しい計算方法であるかよく注意してください。

解雇が無効になった場合の金銭支払いについて   [ 2014.10.22 ]

会社が従業員を解雇したあとで、辞めさせられた従業員が「解雇は納得がいかない」と主張し、裁判所等に訴え出るケースがあります。


その場合、解雇が有効か無効かを争う事になりますが、裁判で負けて解雇が無効になってしまった場合、会社は思いもよらない金銭を支払うことになってしまいます。どのような金銭を支払う必要が出てくるのでしょうか。


1、係争期間中の給与

解雇無効になった場合、争っている期間中の給与を支払わなければなりません。これは、「雇用関係がまだ続いている」と判断されるためです。この給与には基本給のほか、住宅手当等の諸手当も含まれます。

ただし、必ずしも給与の全額を支払う必要はありません。この期間については「事業主の都合で休んでいる休業期間」とみなされるため、最低でも平均賃金の6割以上を支払えば良いとされています(就業規則で全額それ以上の賃金を払うと規定されている場合は、就業規則で定めてある金額を支払う必要があります)。

いずれにせよ「辞めたはずの社員」の給与を支払うことになることには変わりがありません。


2、係争期間中の社会保険料

また、社会保険料や労働保険料の負担も生じてきます。係争期間が長引いた場合、社会保険料などにかかる延滞金も余分に負担する可能性が出ます。


3、訴訟にかかる費用

労働問題が裁判になってしまった場合、弁護士報酬などの裁判費用もかかってきます。また、裁判が長引くほど、通常業務に支障を来す「時間的ロスというコスト」も見過ごせません。


そもそも日本では解雇に対するハードルはかなり高いものです。従業員に辞めてもらいたい場合でも、すぐに解雇と考えるのではなく、まずは自主退職を進めてみる等、より慎重に進めてください。

欠勤日の有給振替について   [ 2014.10.15 ]

従業員が欠勤した後に、「欠勤日を年次有給休暇として振り替えてください」と言ってきた場合、会社は応じる義務はあるのでしょうか。


・応じる義務は無い


年次有給休暇は、従業員から事前に有給取得の請求された場合は、会社はその請求を拒否することはできません。しかし、欠勤後にその欠勤日を有給扱いとして振替える義務はありません。法律上にもそのような義務規定はなく、欠勤分の賃金を給与から引いてもなんら問題ありません。


ただ、有給振替の義務がないからといって、振替してはならないわけではありません。従業員から申請があった場合、欠勤した理由によっては、有給振替を認めてあげても良いと思います。このような場合、就業規則上に、以下の規定を設けておくことをお勧めします。


第○○条(年次有給休暇の届出)

1 年次有給休暇を請求しようとする者は、前日までに所属長に届出なければならない。ただし、事業の正常な運営を妨げるときは、他の時季に変更することがある。

2 病気その他やむを得ない事情により欠勤した場合で、本人から速やかに申出があり、会社が正当な事由による欠勤と認めた場合は、当該欠勤日を年次有給休暇に振り替えることができる。この場合、会社は病気等により欠勤した者から医師の診断証明書または医療機関で受け取ったレシート等の提出を求めることができる。


従業員からすれば、自分の有給取得日数が残っていた場合、それを使用して欠勤による給与の減額を防ぎたいのが心情だと思います。そのような場合、申し出を頭ごなしに拒否するのではなく、事情によっては認めてあげることで、従業員の不平・不満が起きにくい会社作りをしていきましょう。

最低賃金について   [ 2014.10.07 ]

最低賃金は毎年変わる

使用者が労働者に対して最低賃金額未満の賃金を支払った場合には、最低賃金額との差額を支払わなくてはなりません。この最低賃金額は毎年10月頃に改定され、労働者全てに対して適用されます。

・最低賃金の算出方法

最低賃金額は時給の額ですので、月給者も日給者も時給に換算します。

1、月給制の場合⇒月給÷1か月の所定労働時間

2、日給制の場合⇒日給÷1日の所定労働時間

・最低賃金の計算に含まれないもの

下記のように支払っている賃金は、最低賃金の計算から除外されます。

つまり、下記の賃金を支給金額から除いて計算した時給額が、最低賃金額を上回ってなければなりません。

1、臨時に支払われる賃金(結婚手当など)

2、1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与など)

3、時間外、休日・深夜労働の割増賃金

4、精皆勤手当、通勤手当および家族手当

・H26年度地域別最低賃金は下記の通りです。

( ) 内はH25年度の地域別最低賃金、記載の年月日は発行年月日です。

千葉...798円 (777) 平成26年10月1日

東京 ...888円(869) 平成26年10月1日

神奈川...887円 (868) 平成26年10月1日

愛知...800円 (780) 平成26年10月1日

京都...789円(773) 平成26年10月22日

大阪...838円(819) 平成26年10月5日

兵庫...776円(761) 平成26年10月1日

奈良...724円(710) 平成26年10月3日

福岡...727円(712) 平成26年10月5日

上記以外の都道府県の最低賃金額については、厚生労働省のHPをご覧ください。

「http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/minimumichiran/」

最低賃金法では、地域別最低賃金額以上の賃金額を支払わない場合に罰則(50万円以下の罰金)が定められています。昨年度の最低賃金額ぎりぎりで賃金額を設定している場合は、賃金額の変更が必要不可欠となりますのでご注意ください。

残業代の未払いと過払いについて   [ 2014.09.27 ]

未払い残業代の請求をされた場合

労働基準監督署から過去の未払い残業代を支払えと是正勧告を受けた場合、支払わなければならいけないのはもちろんですが、どのくらい過去にさかのぼるのかと言いますと、「2年」になります。

これは労働基準法上に「残業代に当たる賃金の請求期間は2年間、請求を行わなければ時効で消滅する」旨が明記されているためです。そのため、請求する側は2年分さかのぼって請求できます。

2年と言うと24か月ですので、1か月あたり5万円の未払い残業代が発生していたなら、120万円支払わなければいけません。

 

未払い残業代を防ぐ手段

従業員が残業を行う際には、従業員から会社に「残業申請書」を提出させ、残業を承認するか否かを決めるなど、残業時間を把握及び管理するように気を付けましょう。 

労働安全衛生法上も労働時間の適切管理を事業主の義務としていますので、「会社が命じている残業ではない、勝手に残業をしているだけだ」という主張は原則として通りません。

 

残業代を過払いしていた場合

未払いとは逆に、会社が従業員に残業代を余計に支払っていた場合、10年までさかのぼって返還を請求することができます。ただしこの場合、会社側が残業代の計算を間違っていたことが原因でありますし、10年分ともなると、多額のため、従業員の返済能力を考慮した金額で折り合いをつける必要があると思います。

 

残業代をめぐるトラブルは大きな金銭的ダメージを会社に与えます。「なあなあ」にせずにしっかりと現状把握するとともに、残業そのものをしなくても良い働きかた、時間の使い方等も考えていきましょう。

社会保険料の加入期間と保険料徴収に関して   [ 2014.08.04 ]

【社会保険の加入期間】

従業員が入社し社会保険に加入した場合、その日を「資格取得日」と呼び、

従業員が退職し社会保険から外れた場合、退職日の翌日を「資格喪失日」と呼びます。

社会保険の加入期間(被保険者期間)は1ヶ月単位で表示され、「資格取得日の属する月」から、「資格喪失日が属する月の前月」までが算入されます。

【保険料徴収】

社会保険料が徴収されるのは、被保険者資格を取得した月から、被保険者資格を喪失した月の前月までの分となります。

例えば...

① 4月1日に入社し、5月30日に退職した場合

→4月分の保険料を納める必要があります。

② 4月30日に入社し、5月30日に退職した場合

→4月分の保険料を納める必要があります。

③ 4月1日に入社し、5月31日に退職した場合

→4月分、5月分の保険料を納める必要があります。

「資格喪失日」が翌日(6月1日)となるため、資格喪失月が6月になり、その前月の5月分も保険料を納める必要が出てきます。

【社会保険料控除】

保険料は、労使折半となっており、従業員が負担する保険料は、会社が給与から天引きして、会社負担分と合わせて会社が納付するしくみです。

その場合、前月分の保険料を当月の給与から控除することになるので、4月分の保険料は5月給与からの控除となります。

月末退職の際には、給与から当月分の社会保険料が引かれているかに気を付けなければなりません。また、納付した保険料額は、将来もらえる年金額に関わってくることからも、毎月、正しい保険料が引かれているか確認をするようにしましょう。

社員研修時間は、労働時間と言えるか?   [ 2014.05.27 ]

社員研修時間については「実際の業務をしていないから労働時間でない」
と当然に言えるものではありません


1.ポイントは「参加が強制かどうか」

社員研修時間が労働時間かそうでないかを判断する上では、その研修が「参加強制であるか否か」が大きなポイントになります。

社員研修が、皆が必ず参加しなければならない強制参加の研修であれば、それは原則として労働時間とみなされるでしょう。一方で参加希望者だけを募る自由参加の研修であれば、労働時間とならないでしょう。

ただし、「自由参加」としておきながら、皆が参加しなければならない雰囲気を会社側が作っていたり、参加しないことで給与査定が悪くなったりする等、実質的に参加を強制されている状況であれば、その研修時間は労働時間としてみなされます。


2.研修時間中の給与支払いについて

強制参加の場合、研修時間=労働時間ですので、当然に給与を支払う必要があります。一方で参加を強制されない研修については、原則として給与を支払う必要はありません。


3.研修時間の考え方

社員研修が強制参加の場合、その労働時間は、「会社に拘束されている時間」が基準となります。例えば、皆で集合してから研修場所へ向かう場合は、集合時刻から労働時間となる可能性がありますが、一方参加者が各々で現地へ集合する場合には、研修開始時刻が始業時間となります。また当然ながら、通常の労働時間と同じく、1日8時間を超えた場合は残業代がつきます。

タイムカードの使用の有無で生じる問題   [ 2014.04.16 ]

会社には、社員の労働時間を適切に把握する義務があります


たとえば、「出退勤や休日休憩含め、労働時間は社員の自主性に任せている」というルールの会社があったとしても、「実際の労働時間がどうであったか」を把握しなければなりません。

タイムカードの設置は、法律上義務ではありませんが、ない場合にはタイムカード以外の方法で時間管理をする必要があります。出勤日に印を押す出勤簿などのアナログな方法で管理しても構いませんが、出勤時刻・退勤時刻や休憩時刻について正しく管理できていないならば、法律上不十分な時間管理とみなされてしまうことに注意が必要です。


労働時間について争ったとき

会社と従業員との間で、長時間労働等の争いになった場合、従業員の実際の労働時間は以下の記録からも認定されます。

①パソコンのONとOFFのログデータ

②メールの送信記録

③ドライブメーター、タコメーターの記録

④労働者が日々つけていたメモ等の記録


従って、タイムカードを意図的に不設置にしたとしても、他の記録によって労働時間が証明される可能性があるので、未払い賃金の解決にはなりません。


作業効率や人事評価にと労働時間の関係

客観的な記録がないと会社も社員も労働時間が把握できません。そのため、同じ仕事・同じ成果をどれだけ早く出せるかという部分の、適切な評価が出来なくなってしまいます。

また、労働時間を適切に管理すれば「どの作業にどれだけの時間がかかっているか」「作業効率を向上させるためにどんな手を打てばよいか」という業務改善の面でも有効なデータとなるでしょう。


「労働時間はあいまいなほうが未払い残業代対策の面ではよい」という消極的な考え方ではなく、労働時間を管理し、集めたデータを有効に活用することで、時間あたりの生産性を高めることに目を向けていくという積極的な姿勢も一考の価値があるのではないでしょうか。

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